金:米大統領選挙無難通過で調整安|【Weekly Report】週間予定
2024年11月11日
週間展望(11/11~11/17)
このページで知れること(目次)
週間予定:米大統領選挙、全人代、FOMC
前週:トランプ大統領、返り咲き(米大統領選挙)
ドル円:トランプ・トレードで、米長期金利高・ドル高
金:米大統領選挙無難通過で調整安
【主要国公定金利】
【中国輸出入】
金ETF
週間予定:米大統領選挙、全人代、FOMC
・10月の米消費者物価指数(CPI) 11月FOMCではインフレに関して「自信を深めている」との文言を削除し「進展した」と表現
・パウエルFRB議長とウォラー理事の講演
・ベイリー英中銀総裁とマン英中銀委員の講演
・日銀10月会合の主な意見 植田日銀総裁は会見で「時間的余裕ある」表現を今後使わないと発言。
・中国10月小売売上高と住宅販売価格 9月末の景気刺激策の効果が出始めた可能性「独身の日」セールは過去最長1カ月間
・日本GDP速報値 成長鈍化見通し、8月の台風と初の「南海トラフ地震臨時情報」受け消費活動縮小
・12日-13日に東京で「NVIDIA AI Summit Japan 2024」開催、エヌビディアCEOとソフトバンクGの孫社長が対談
前週:トランプ大統領、返り咲き(米大統領選挙)
【トリプルレッドの可能性】
米大統領選は6日朝(日本時間同日夜)、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)の当選が確実になった。
複数の米主要メディアが同日報じた。激戦7州のうち東部ペンシルベニア、南部ノースカロライナ、同ジョージアなど4州を制した。また、共和党が上院(定数100)で51議席以上を確保することも確実となった。最終的には接戦州の7州全てがトランプ勝利となった。全米で獲得した選挙人の数が固まり、初当選した2016年に獲得した選挙人の数を上回った。
これらメディアの当選確実報道を受け、トランプ氏は勝利宣言した。「47代大統領を選んだ国民に感謝を伝えたい」と述べたうえで、「あなたたちの将来のために毎日、私は全身全霊で戦う。子供たちにふさわしい強く安全で豊かな米国を築くまで休まない。米国は真の黄金時代を迎える」と宣言した。
大統領選と同時実施された連邦議会選は、上院で共和が4年ぶりに多数派の奪回を確実にした。
開票中の下院はいずれも過半数となる218議席に届いていない。AP通信によると、10日11時40分時点で共和が213議席、民主が201議席を確保した。トリプルレッドの可能性。
ドル円:トランプ・トレードで、米長期金利高・ドル高
【今週見通し・戦略】
日本時間の6日に米大統領選挙の開票が進むにつれて、共和党のトランプ前大統領が優勢と報じられ、夕方頃には当選がほぼ確実となったのに伴い、減税や規制緩和などが実施されるとの見方が広がり、米株高、ドル高、米金利高が進み、ドル円は154円台後半まで続伸した。
この動きに対して、加藤財務大臣は「為替市場の動向を極めて高い緊張感を持って注視するとともに、行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取って参りたい」と口先牽制を行っており、心理的節目155円が上値抵抗として意識されている、一方、心理的節目150円~200日移動平均線が下値支持帯として機能している。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想の通り、0.25%の利下げを決定した。パウエル議長は記者会見で12月のFOMCでの利下げは「データ次第」と述べ、利下げの可能性は肯定も否定もしなかった。
米利下げ要求
トランプ政権になれば、
①関税引き上げによる輸入品の値上げ
②減税の継続・拡大による景気過熱
③不法移民対策による人手不足
などからインフレ圧力が高まるとの見方から、米金利が高止まりし、円安ドル高が進むと言うのが足元の市場コンセンサスだが、トランプ次期大統領は、大統領選挙期間にも、行き過ぎたドル高は輸出産業にとって弊害になると何度か述べており、自身が大統領になれば、FRBに利下げをさせると主張している。FRBへの政治介入は中央銀行及び通貨の信認を低下させてドル安要因ともなり、米大統領選挙に大きな波乱がなかったことから、日銀が追加利上げに向かう可能性もあり、ドル円の反転リスクには注意したい。
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【今週見通し・戦略】
先週レポートで『今後の金相場のシナリオだが、米大統領選挙の結果如何で、利食いが先行するのか、踏み上げ相場へ突き進むかが決まりそうだ。』とし、①米大統領選挙で、すんなり勝敗決定。⇒金相場は、リスクプレミアムが剥げ落ちる格好で調整安。金安・株高。』としたが米大統領選挙が大きな波乱なく終了したことで、トランプトレードから、米株高・ドル高に伴い、金相場は調整入りとなった。
ドイツのショルツ連立政権が分裂した。2025年度予算案を巡り経済対策か財政規律かで議論が折り合わず、連立与党の一部が離脱する事態に発展した。景気不安が政局に飛び火した形で、25年9月に予定する総選挙は3月に前倒しされる可能性が出てきた中、ユーロ安になったことも金の調整安の一因。
調整安の目途
JPX金の調整安の目途は、
①8月安値を起点とした上昇チャネルの下限と重なる心理的節目13000円水準。同水準は一目均衡表の基準線とも重なる。
②7月17日高値(12679円)~心理的節目12500円。
③価格帯別出来高の厚い12000円水準。
フィボナッチからは、
①8月安値~10月高値までの38.2%押しは、12667円、半値押しは12312円、61.8%押しは、11956円。
②9月安値~10月高値までの38.2%押しは、12903円、半値押しは12620円、61.8%押しは、12337円。
などがカウント可能。金上昇の大きなテーマ(米覇権・基軸通貨ドルの揺らぎ)に変化はなく、調整後は、改めて買い直されそうだ。底打ち待ち。
【主要国公定金利】
【中国輸出入】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。