4月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)|【Monthly Report】月間展望(4月)
2024年4月1日
~4月1日~4月30日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:152円水準の攻防戦 日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
金:インフレヘッジの買い 4月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)
4月注目スケジュール:日銀金融政策決定会合・FOMC・ラマダン明け
ドル円:152円水準の攻防戦
日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
【今月見通し・戦略】
ドル円は3月27日(日本時間)、一時1ドル=151円97銭をつけ、1990年7月以来、33年8ヶ月ぶりの円安ドル高水準を付けた。
日銀内でもタカ派とされる日銀の田村直樹審議委員が、同日午前10時からの講演で、想定よりも慎重な姿勢を示したことから、日銀の早期追加利上げ観測が後退、円売りドル買いが膨らんだ。
その後、財務省と金融庁、日銀は同日午後6時15分から国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開催し、為替相場の過度な変動は望ましくないとの考え方を確認した。
ただし、米国の金利は当面、高止まりする一方、日本の金利引き上げも当面はないとの思惑は強く、日米金利差は当分の間、縮小しないだろうとの観測がドル円の下値を支え、引き続き、心理的節目152円を上値抵抗とした三角保合い放れ待ちが続いている。前回の介入は、2022年9月22日および10月21日と24日に、それぞれ円買い・ドル売り介入が行われた。この際は、口先牽制⇒レートチェック⇒実弾介入という流れだった。
神田財務官は3月25日「今の円安の動きは明らかに投機が背景にある」「常に準備はできている」と述べ、鈴木財務相は3月26日「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せず適切に対応を取っていきたい」と発言した。財務省は介入を意識する段階に入っていると推測される。また、日銀が市場参加者に為替取引の状況を照会する「レートチェック」は、3者会合よりも強い、介入間近のシグナルと市場は認識している。仮に、ドル円が152円台に乗せた場合、テクニカル的な買いが一気に加速する可能性はあるものの、本邦当局の介入も予想されることからブレイク後の乱高下が予想される。一目均衡表からの上値目標は、V=154.2円。
152円水準を上抜けた場合、終値ベースで152円台を維持するか否かが焦点となる。
~日米欧金融政策会合スケジュール・ドル円~
【日米欧金融政策決定会合】
【ドル円(週足)52週移動平均線】
【ドル円(日足)200日移動平均線】
金:インフレヘッジの買い
4月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)
【今月見通し・戦略】
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内の利下げ回数が3回で維持とされ、現段階ではこれが市場コンセンサス(メインシナリオ)となっている。ただ、6月FOMCまでに3回の雇用統計と消費者物価指数(CPI)の発表を控える中、3月FOMC後に、 ボスティック・アトランタ連銀総裁が、利下げ回数を今回は2回から1回に減らしたと述べ、クックFRB理事は「ディスインフレの道は起伏が多く、平たんではない。インフレ鈍化は時間がかかり、利下げに対して、慎重にならざるを得ない」と語った。
原油市場が地政学リスクや、ロシア政府が「OPECプラス」との減産合意を順守するために石油企業に4~6月期の生産を減らすよう命じた。4月はNY原油にとって最も上昇傾向が強い時間帯だ。
原油高がCPI、PCE、末端価格に反映するのはタイムラグがあるが、春~夏場にかけて原油高が強まってくると、インフレ高止まりシナリオが復活、年後半にかけて利下げではなく利上げさえも警戒されてくるかもしれない。
現段階では、インフレ鎮静化に伴い景気後退は限定的。米利下げは緩やかなペースながら実施され、米金利は頭打ち・株価は堅調・金も緩やかに上昇と言うのが市場が織り込んでいるメインシナリオであるものの、サブシナリオの「スタグフレーション(インフレと景気後退が同時進行)」が現実化した場合、米金利上昇・株価下落・金上昇は相当強いものとなるだろう。この場合、円建て金は、NY金高+円安ドル高のダブルでの追い風を受け、その優勢性に拍車が掛かるだろう。
世界銀行が発表したアセットマネージャー向け「金投資ハンドブック」にも、インフレの度合いが高まれば高まるほど、金投資の優位性が紹介されている。円建て金の買い方針継続。単なる値頃にとらわれてはいけない。利食いは良いものの、新規売りは避けたい。
~月間騰落率(OSE金)・インフレ度合い・NY金~
【月間騰落率(OSE金)】
【インフレ度合いパフォーマンス】
【NY金・JPX金・ドル円】
4月注目スケジュール:
日銀金融政策決定会合・FOMC・ラマダン明け
日本では、25~26日に金融政策決定会合。日銀は3月会合で、マイナス金利政策を含む大規模緩和政策の解除を決めました。4月会合では、新たな物価見通しなどを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表される。日銀の利上げペースを見通す上で、この展望リポートが注目される。
米国では、月末から米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月のFOMCで、政策金利を5会合連続で据え置き、経済見通しでは年内3回としていた利下げ予想を維持。次回会合では、量的引き締め(QT)の資産圧縮ペースの減速が予想される。
中国では、16日に1-3月期のGDPが発表。不動産市場の低迷が続くなか、全国人民代表大会(全人代)で中国政府が掲げた24年の経済成長率目標である「5%前後」達成の実現性が意識・材料視される。
インドでは、「総選挙」が各州で4月19日から6月1日にかけて行われる。世論調査では、高成長が続く経済を追い風に、モディ首相率いる与党インド人民党が優勢。中国が不動産不況や米国との地政学的対立などの課題を抱える中、海外投資家が中国に代わる高成長国の投資先としてインドを選好している流れが継続。
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。