3月騰落率(OSE金)・金とビットコイン・NY金(日足)|【Monthly Report】月間展望(3月) | 【公式】日産証券の金投資コラム

3月騰落率(OSE金)・金とビットコイン・NY金(日足)|【Monthly Report】月間展望(3月)

NSトレーディング 菊川弘之
2024年3月1日

~3月1日~3月31日 ~

ドル円:152円水準の攻防戦
日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)

3月騰落率(ドル円)

【今月見通し・戦略】

1月30-31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文には、追加利上げに含みを持たす文言を削除した代わりに、「インフレ率が持続的に(政策目標の)2%に向かっているとのより大きな確信を持つまで、政策金利の引き下げが適切になるとは考えていない」との文言を加え、早期の利下げに慎重な姿勢が示された。


軌道修正に時間をかけるFRBの姿勢が強調される結果となったことに加えて、1月の米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)などが市場予想より上振れしたことで米早期利下げ観測が大幅に後退し、ドル円は、三角保合いを上放れ、150円乗せとなった。


日足ベースでは、三角保合い上放れとなったが、週足ベースでは、152円水準を上値抵抗とした三角保合いが継続中で、中期的には依然として、レンジ相場継続と見なすことができる。


本格的にレンジブレイクから大きな上げ相場となるのは、月足ベースでのテクニカルポイントである1990年8月高値(155円水準)を上抜けた場合。この時には、失われた30年の終了や、悪い円安が意識されてくる。


1月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想に一致し、緩やかながらインフレ鈍化が続いたことを示した。PCE物価指数ではエネルギーと食品を除くコアの前年同月比の上昇率が2.8%と12月(2.9%)から鈍化。前月比では伸びが加速したが、前年比、前月比ともに市場予想と同水準。


2月末には、米利下げ先送りとの見方が後退。CMEのフェドウォッチでは、米利下げが6月から開始されることを織り込んでいる。日銀の高田創審議委員の物価や政策運営についての発言を受け、日銀が早い段階でマイナス金利の解除などに動く可能性も意識され、150円割れで2月を終えた。3月も引き続き152円の攻防戦。抜けきれなければ、レンジ内での逆張り継続。



~日米欧金融政策会合スケジュール・ドル円~


【日米欧金融政策決定会合】

2024年FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合の日程


【ドル円(週足)52週移動平均線】

ドル円(週足)


【ドル円(日足)200日移動平均線】

ドル円(日足)



金:基軸通貨ドルの揺らぎ(ドル離れ継続)
3月騰落率(OSE金)・金とビットコイン・NY金(日足)

3月騰落率(NY金)

【今月見通し・戦略】

NY金は、昨年末に高まった過度な米利下げ期待に対する欧米の金融当局者の牽制発言に加え、2月に入っても強気の米マクロ経済指標が続き、長期金利上昇・ドル高や、ビットコイン相場の急伸などが嫌気され、200日移動平均線を割り込んだが、心理的節目2000ドルが下値支持となり、押し目はすかさず買い直された。


これまで、金とビットコインは、ドルなどの既存通貨に対する代替資産として、値動きの相関が高まる時期と、代替資産同士の中での資金シフトで逆相関の動きとなる時期があったが、足元は米国で1月にビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)が承認されたことや、「半減期」が迫っていることなどがビットコインの追い風となり、金から資金が流入している状況だ。


2月28日からブラジル・サンパウロで始まったG20財務相・中央銀行総裁会議で、ロシアの凍結資産(外貨準備)約3000億ドル(45兆円)をウクライナ支援に転用することの是非が話し合われる見込みだが、元ECB専務理事でイタリア中銀のファビオ・パネッタ総裁が述べたように、通貨システムを兵器のように扱うことは絶大な効果が期待できる一方、ドル離れやユーロ離れを誘発するもろ刃の剣となり、代替通貨の出現を促す。


この基軸通貨ドルの揺らぎは、金やビットコインにとって強気要因。世界の中銀による金の純購入(購入から売却を引いた値)は22年に約1082トンと1950年以降で最高となり、23年も約1037トンと高水準が続いている。


足元では、ビットコインの堅調が目立つが、過去、金価格(1㎏)を上回るとビットコインは調整を見せている。今回の騰勢も、価格逆転場面では一服するかもしれない。ドルの代替は金ではなくビットコインという見方が一般化すれば、金価格がビットコインの下値支持に変化する可能性はあるものの、現段階でそのシナリオは時期尚早であろう。価格逆転場面は、ビットコインの売り場となりそうだ。



~月間騰落率(OSE金)・ビットコイン・NY金~


【月間騰落率(OSE金)】

3月騰落率(OSE金)


【金&ビットコイン】

ドル建て金とビットコインの推移


【NY金:日足】

NY金(4月限)



3月注目スケジュール:
スーパーチューズデー・全人代・ラマダン

3月注目スケジュール


3月は、スーパーチューズデーや全人代など、米中両国のビッグイベントが控える。


米大統領選挙は、「スーパーチューズデー」を前に、トランプ氏の大統領返り咲きを織り込む「もしトラ」が進んでいるが、4件で刑事訴追され、全てで有罪となれば最高で717年6月の禁錮刑が科される可能性があるトランプ氏が、投開票日前に有罪評決が出れば、選挙途中で離脱を余儀なくされるリスクもあり、予断は許さない。


トランプ氏が返り咲いた場合、大統領の犯罪(ノルドストリーム爆破事件)が問われる可能性が高いバイデン大統領も負ける訳にはいかず、合法・非合法を問わず、ありとあらゆる手段で選挙戦に臨むだろう。経済的な合理性に反した中東での(軍事)決定などにも注意したい。


大虐殺を続けるイスラエルは、ラマダン(断食月)までに人質が解放されない場合は、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファに戦闘を拡大すると警告している。この場合、中東全域に地政学リスクが高まる可能性も。


日銀は、13日の集中回答日の内容や経済・物価情勢などを見極めた上で、早ければ今月にもマイナス金利を解除する可能性。

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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