Weekly Report 2023年7月24日(月)
2023年7月24日
週間展望週間展望(7/24~7/30)
このページで知れること(目次)
週間予定:FOMC・ECB・日銀禁輸政策決定会合
前週Review:オデッサ港攻撃・船舶入港を制限
ドル円:日米欧の金融政策会合を受けて変動高まる?
金:金への資金回帰は継続
【米小売売上高(前年度比)】
【中国GDP】
金ETF
週間予定:FOMC・ECB・日銀禁輸政策決定会合
今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、ECB理事会、日銀金融政策決定会合が予定されている。FOMCでは0.25%利上げが、市場コンセンサス。注目は声明と会合後の議長見。
6月に関しては食品とエネルギーを除いたコアも大きく落ちたため、利上げでの打ち止め期待につながっているものの、コアに関しては水準は、まだかなり 高く、前年度比の数値の鈍化は落ち着いてくると想定される。 今回の声明や議長会見で前回までの追加利上げに積極的な姿勢が維持されるかが注目される。欧州中央銀行(ECB)理事会で、9会合連続の利上げを決める見通し。 日銀金融政策決定会合での「YCCの修正に動く」との見方は後退している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、ロシアの占領下にある南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ自動車・鉄道橋「クリミア橋」について「攻撃目標だ」との認識を示し、破壊すべきだと述べた。ロシア当局は22日、クリミア半島の燃料貯蔵施設がドローン攻撃を受けたとして、ロシア本土とクリミア半島を結ぶケルチ大橋を通行停止にするなど交通に混乱が生じたと明らかにしている。ロシア軍とウクライナ軍のクラスター弾によるとされる砲撃があり、双方の従軍記者らが死傷しており、戦闘がさらに激化するリスクには注意したい。
前週Review:オデッサ港攻撃・船舶入港を制限
【小麦急騰】
17日にウクライナによるクリミア大橋の再攻撃を受けて、ロシアは同日に更新期限を迎えていた黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)の更新を拒否するとともに、報復として穀物輸出港のオデッサを攻撃した。
ロシア国防省は19日、黒海でウクライナに入港する船舶は全部武器を積んでいるとみなすと 警告し、事実上の海上封鎖を宣言した。ウクライナも同様に20日、ロシアおよびウクライナのロシア占領地域からそれぞれの黒海沿岸港に向かう船は全て軍事貨物を積載していると見なされ得ると警告。
キッシンジャー元国務長官が、訪中して習金平国家主席と会談するなどの動きはあるものの、ロシア・ウクライナ双方が、クラスター爆弾を使用し、民間人記者が死傷するなど、戦闘が新たなステージに変化しつつあり、再び、原油や穀物市場の上値リスクが意識されてきた。
ドル円:日米欧の金融政策会合を受けて変動高まる?
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、米金融引き締めの長期化観測が後退や、日銀による大規模緩和策の修正観測などを背景に14日に137円台前半まで下落したが、200日移動平均線にサポートされ反発。
18日に植田日銀総裁が、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「持続的、安定的な2%の物価目標達成にはまだ距離がある」などと発言したことで、今月の日銀金融政策決定会合で「イールドカーブコントロール(YCC)の修正に動く」との見方が後退して、週末にかけて円売りが加速した。
日米欧の金融政策会合
今週は、各国中央銀行による金融政策会合が開催される。25~26日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、27日に欧州中央銀行(ECB)理事会、27~28日には日銀金融政策決定会合が開催される。それぞれの結果次第で、変動率が高まりそう。
FOMCでは政策金利は0.25%利上げとの見方がコンセンサス。これまでFRBやパウエル議長は年内2回利上げとの見通しを示してきたが、インフレ率の伸び率の鈍化を背景に「7月で利上げは打ち止め」との見方が広がっている。
米インフレ指標の鈍化傾向は今後、前年度比では緩やかになると思われ、マクロ経済指標は堅調な結果を示しているものも多く、米7月製造業PMI速報値(24日)、米7月サービス業PMI速報値(24日)、米第2四半期GDP速報値(27日) 、米6月耐久財受注速報値(27日)などがあり、良好な結果が続くとドルの下支え要因となる。
ドル円は、6月高値~7月安値までの下げ幅に対する61.8%戻し(142.07円)を試す流れ。
中長期的には、7月の上海協力機構会議~8月の BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)会議にかけて、戦後のドルの基軸通貨としての地位を支えていた「ペトロダラー体制」(石油の貿易決済を必ずドルで決済すること)の終焉が意識されており、G7以外の各国中央銀行が外貨準備をドルから金地金に転換する流れは継続しそうで、ドルの上値は抑えられ易い構図。
金:金への資金回帰は継続
【今週見通し・戦略】
昨年から米長期金利が4%を超えるとNY金は売り圧力を受けるものの、結果として、金利上昇を嫌気して付けた安値が買い場となっている。今回(2023年7月の金利上昇局面)も4%超への金利上昇を嫌気したが、4%越えの金利上昇に対する耐久力は高まっており、心理的節目1900ドルが下値支持となり、過去の4%超時の下げと比べても高い値位置での底打ちとなった。
米CPI・PPIを受けて、一旦収まったかのように見えるインフレだが、前年度比で見れば、2022年3月~6月は原油が120ドル超、穀物市場も高止まりしていた時間帯で、前年度比でインフレが鎮静化したように見えるだけで、今後は前年度比の物価指標の数字は、大きく下げない。
金星逆行上値リスク高まる時間か
金星逆行期は、7月22日~9月3日。アストロロージ(金融占星術)によると、
・金融市場における金星逆行は、
非常に困難かつ予測不能な金融・財政環境と同期する。
緩和から引き締めへ、あるいはその逆へと大きく政策変更する。
と言われる。今回の逆行は9月3日に終了する。この時期は、水星の逆行(8/23-9/15)とも重なり、多くの金融市場において重要な反転期になると予測される。今年のスケジュールを見ると、8月にはジャクソンホール会議、BRICS会合などが予定されている。FOMC・ECB理事会・日銀金融政策決定会合と合わせて注意したい。
NY金相場と金星逆行期の関係を見ると、逆行期は保合いが続くが、終了と共に、直近2回の場合、大きく上放れている。今回も1900ドル水準で底を確認後、上値が抑えられて保合いに移行しつつあるが、徐々に下値を固めながら、金星逆行終了期前後から上値リスクが高まる可能性には留意したい。
【米小売売上高(前年度比)】
【中国GDP】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。