Weekly Report 2023年4月17日(月) | 【公式】日産証券の金投資コラム

Weekly Report 2023年4月17日(月)

NSトレーディング 菊川弘之
2023年4月17日

週間展望(4/17~4/23)

週間予定:ユーロ圏及び加盟主要国、米国のPMI

【週間スケジュール(4月17日~4月23日)】

21日に4月のユーロ圏及び加盟主要国、米国のPMI(購買担当者景気指数)が発表される。


ECB、FRB共に、目先は追加利上げ期待が優勢となっているが、米国が次回の利上げでの打ち止め期待が高まる一方、欧州は物価が高い水準にあり、当局からは利上げ継続が示唆されている。各国中央銀行間で利上げペースや停止時期に差異思惑が出てくるだろう。


ただ、ユーロ圏全体でも前回の製造業PMIは47.3と、昨年7月以来の50割れ継続。利上げに伴う悪影響とインフレとの闘いに当局の政策運営は困難を極めるだろう。


ここに政治ファクターが加わり、今年から来年にかけて、波乱含みとなりそうだ。まずは、日本のゴールデンウィーク前後の波乱に注意したい。GW前の様子見ムードの高まりは、嵐の前の静けさとなるかもしれない。



前週Review:北朝鮮弾道ミサイル発射実験

【Jアラート発令】

北朝鮮が発射した弾道ミサイル

4月13日早朝、「Jアラート発令」が報じられ、一時、緊張感が走った。


トランプ大統領時代までは、北朝鮮が核兵器と大陸間弾道ミサイルの開発を進めた動機は、米国を交渉の場に引き出すことだったが、バイデン政権は交渉に応じる気配がなく、ロシアに対する制裁動向などを見て、バイデン政権が金正恩政権との対話に応じて金王朝の体制保全を約束するという可能性はまったくないと判断し、対米政策を変化させた可能性が高い。

北朝鮮リスク

米国本土を攻撃できるICBMの開発と、それに搭載可能な核兵器の小型化を急ぎ、それを多数保有することによってしか北朝鮮は生き残ることができないと、追い詰められており、台湾有事よりも先に、アジアで火の手が上がるのは朝鮮半島かもしれない。来年の大統領選挙に向けて、イスラエルによるイラン攻撃と合わせて、北朝鮮への先制攻撃や偶発的衝突を装った戦争開始などに日本が巻き込まれるリスクにも注意したい。


一部で「台湾有事」をあおる本邦メディアの動きもあるが、台湾の世論調査(台湾民意基金会、3月)では「アメリカがどんなに台湾に友好的だと言ったところで、それはすべてアメリカ自身の利益のためであって、台湾にとっては必ずしも良いこととは限らない」と思っている人が、全体の約60%を占めた。

Yahoo台湾の世論調査(4月)では、「今回の蔡英文総統の外遊は、台米関係に有益だと思いますか」の問いに、「有益」と回答したのは全体の「17.2%」、「あまり有益ではない17.8%」と「全く有益ではない56.4%」を合わせると、全体で「74.2%」の台湾人が「有益ではない」と回答した。

一方、国民党の馬英九前総裁が大陸を訪問したことを「大変良いことだ」と評価している人が約70%を占めた。日本と台湾では報道に温度差がある点にも注意したい。

気が付くと、はしごが外され、アジアでは日本だけが取り残されているという事態にもなりかねない。



ドル円:上値も下値も限定的なレンジ入り

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)

日銀の植田新総裁は10日夜の就任会見で、大規模緩和の継続を表明。「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)は市場機能に配慮しつつ、現状では経済にとってもっとも適切と考えられる」「マイナス金利政策は現在の強力な金融緩和のベースになっている政策」と述べた事で円売りドル買いが見られたものの、米インフレ指標が鈍化したことで戻りは売られた。

米消費者物価指数ではコア指数が高止まりも、総合指数が予想以上に低下。く生産者物価指数も予想以上に伸びが鈍化しており、市場では米債利回り低下と共にドル売り圧力が強まった。


FOMC(23/5/3)での金利決定予想



5月FOMCについては引き続き25bp利上げ観測が優勢で、今後の利上げ停止や、年内の利下げ開始期待は強い。前週末のドル円は、FRB高官らのタカ派的な発言をきっかけに米債券は売られ、米長期金利の上昇を受け、日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが優勢になった。足元でドル安が進んでいたため、週末を控えて利益確定目的の円売り・ドル買いも出やすかった。


FRBのウォラー理事が講演で「一段の利上げが必要だ」と語った。アトランタ連銀のボスティック総裁も次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする考えを示している。


3月の小売売上高は前月比1.0%減と、市場予想の0.5%減を下回った。消費が下振れし景気が減速するとの見方も売りにつながった。

保合いへ以降か

ユーロはECBの利上げ継続姿勢が、ポンドは英経済のリセッション回避の見方が強まったことで追加利上げ観測が再燃、ドル安の一因となった。


ドル円は、徐々に上値も下値も限定的な保合いに移行してきた。インフレ動向や、利上げ継続に見通しに関しては、市場の見方は分かれており、米債務上限問題が控えている事もあり、様子見ムードが高まり、狭いレンジ相場で放れ待ちへ移行の可能性も。



金:NY金は2000ドル固めへ

【今週見通し・戦略】

JPX金(週足)とNY金(週足)

とNY金(月足)

欧米の金融危機懸念が後退しても、金価格の調整は限定的。押し目はすかさず買い直されて、JPX金は三角保合いを上放れて上げ加速。上場来最高値更新が続いている。

一方、NY金は心理的節目2000ドルの攻防で日柄を経過していたが、こちらも2000ドルを割り込んでも、すかさず買われて、史上最高値の攻防戦へ移行してきた。


インフレは鎮静化してきたかにも見えるが、物価水準自体は高いままで夏場にかけて原油高・穀物高リスクは残ったままだ。更に、米国の債務上限問題は、依然として何ら解決の目途は立っていない。


米国離れは中東だけでなく、フランスのマクロン大統領は国賓として訪中(5~7日)した。もともとフランスは、米国べったりではなく、北大西洋条約機構(NATO)からも距離を取っており、1966年にNATOを脱退、2009年NATOに復帰した経緯もある。今回マクロン大統領はウクライナ戦争「和平案」に賛同を示し、中仏共同声明では、中仏軍事協力も盛り込まれた。

米国覇権の揺らぎの中、北朝鮮によるミサイル実験・Jアラート発出など、否が応でも地政学リスクが意識される中、15日には和歌山県の雑賀崎漁港で、補欠選挙の応援に訪れていた岸田総理大臣に爆発物のようなものが投げ込まれた。幸いにも岸田総理は無事だったが、改めて要人警護や、国家防衛体制の杜撰さが表面化している。「安全な国」という常識が崩れていく予兆かもしれない。

踏み上げも

NY金が2000ドル固めしてくると、2022年11月にダブルトップ完成で売り込んだ向きが、本格的に損切り(買戻し)してくる可能性は高い。NY金が踏み上げとなれば、JPXも追随高となるだろう。相場格言通り、「買い難い相場は高い」流れだ。

2000ドル水準で三尊天井を完成させるためには、1600ドル近辺にあるネックラインを割り込む必要があるが、その可能性は極めて低い。仮に今回、2000ドルで上値が抑えられたとしても、時間の問題で上放れるだろう。



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

この記事を読んだ方にお勧めの記事

  • 米早期利下げ期待が後退して外国為替市場ではドル買い優勢が続く中、今週は日米金融政策見通しの手掛かり材料として27日発表の全国消費者物価指数(CPI)、29日発表の米個人消費支出(PCE)価格指数に注目が集まる。

  • 8月の米個人消費支出(PCE)デフレータが発表される。

  • 7月の日米欧の中央銀行ウィークは、FOMC・ECB理事会は、事前予想範囲内で、ノーサプライズ。日銀金融政策決定会合は、イールドカーブ・コントロール(YCC)の変動幅の上限である+0.5%を超えて10年国債利回りが上昇することを容認する、運用の柔軟化策を決…

他ジャンルの最新はこちら

  • 金投資の基礎知識

    WGC中央銀行金準備サーベイ2024

  • スペシャル

    光の子、トランプ前大統領

    トランプ氏暗殺未遂に世界中が震撼した。トランプ氏が事件の後でSNSで『考えもつかぬこの出来事を防いだのは神のみだ。我々は恐れることなく、悪に直面しても信仰心と反骨の精神をもち続ける』と発信した。

  • 動画

    トランプ前大統領暗殺未遂を受け「ほぼトラ」に傾きつつある米大統領選、金市場への影響について解説します。


当サイトのコンテンツは情報提供を目的としており、当社取り扱い商品に関わる売買を勧誘するものではありません。内容は正確性、 完全性に万全を期してはおりますが、これを保証するものではありません。また、当資料により生じた、いかなる損失・ 損害についても当社は責任を負いません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 当資料の一切の権利は日産証券株式会社に帰属しており、無断での複製、転送、転載を禁じます。

取引にあたっては、必ず日産証券ホームページに記載の重要事項リスク説明等をよくご確認ください。
重要な注意事項についてはこちら