Monthly Report 2023年1月
2023年1月4日
~ 1月1日~1月31日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:円高圧力が意識されやすい 主要国金融政策決定会合日程・米利上げ終了前後1年のドル円
金:水星逆行期の調整に注意 NY金(水星逆行)・米利上げ終了前後1年のNY金
1月注目スケジュール:雇用統計・FOMC・中国春節休場・ダボス会議・日米首脳会談
ドル円:円高圧力が意識されやすい
主要国金融政策決定会合日程・米利上げ終了前後1年のドル円
~円高圧力が意識されやすい~
【今月見通し・戦略】
今年の干支は、癸卯(みずのと・う)。相場格言では、「卯跳ねる」と言われるが、確かに日経平均の騰落傾向は強気の年である。 欧米の景気後退が懸念される中、相対的な日本の良さ(落ち込みが小さい)が評価される可能性も。一方、過去の卯年には、2011年の東日本大震災、1999年の東海村JCO臨界事故、1987年のブラックマンデー、1975年のサイゴン陥落などで、大きな事故も起きている。
FRBが2023年2月1日と、3月22日のFOMCで、それぞれ25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを行い、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.75%~5.00%に達したところで、2023年いっぱい金利を据え置くというのが、年明け時点での市場コンセンサスだ。
昨年は日米金利差や、日本の貿易収支などから大きく円安が進んだが、過去のドル円を振り返ると、大きな変動を出した翌年は、変動幅は縮小している。今年の変動幅は、昨年比で小さくなるかもしれない。
日本の国債格下げ等が材料視されない限り、今年は米国の負の側面が材料視されるかもしれない。100年振りに下院議長が決まらない事態となっており、ドル売り圧力が意識されやすいか?1月のトレンドが1年のトレンドを決めるという「1月効果」にも注意したい。
~主要国金融政策決定会合日程・ドル円長期チャート~
【2023年のFOMC・ECB・日銀金融政策決定会合】
【利上げ終了前後1年のドル円】
金:水星逆行期の調整に注意
NY金(水星逆行)・米利上げ終了前後1年のNY金
~水星逆行期の調整に注意~
【今月見通し・戦略】
過去の「米利上げ⇒利上げ終了⇒利下げ局面」を振り返ってみると、利上げ初期段階では、利上げを嫌気してNY金は下落、実際のFOMCの利上げ決定で「知ったら終いで反発」を繰り返し、利上げ最終局面では、利上げには反応薄で下値を切り上げ、利下げに転じて以降は、金の上げが加速するパターンとなっている。
「利上げ停止時期」の見方は分かれているものの、過去の例では利上げ終了前に先行して「米金利は頭打ち・NY金は底打ち」となっており、金相場は「底を付けた相場は、天井を付けるまで高い」と言う流れに変化はないだろう。
2023年の注目は、「景気後退(リセッション)がソフト・ランディングとなるのか、それともハード・ランディングとなるのか」だ。軟着陸シナリオの場合、金市場の上昇は緩やかなものになるかもしれない。一方、インフレが再度高まりを見せ、景気後退とインフレが同時に進行する「ハード・ランディング(スタグフレーション)」シナリオになった場合は、金の上値余地は大きくなるだろう。
2022年12月29日~2023年1月18日が「水星の逆行期」となっている。アストロロージ(金融占星術)の世界では、「水星の逆行期」には、短期で急激な価格変動が上下に起きる為、テクニカル的なダマシにも会いやすく、急騰・急落による「往復の売買で損失を被りやすい」と言われる。
また、「この時期は人々が頻繁に考えを変える」「通信回線の混乱が起こり易い」ため、「この期間に合意や協定のまとめに入るのは避けた方が良い」とも言われる。
昨年の「水星逆行期」のNY金も、テクニカル的な売りを巻き込み急落する場面があったが、下げはダマシになり、結果としては「水星逆行期」の安値は、買い場を提供する格好となった。
今回の水星逆行期前後には、雇用統計・ダボス会議・中国春節休場など、イベントも多く、テクニカル的な下げ局面の安値を売り込むのは避けたい。
~NY金(水星逆行)・米利上げ終了前後1年のNY金~
【NY金(水星逆行期)】
【利上げ終了前後1年のNY金】
1月注目スケジュール:雇用統計・FOMC・中国春節休場・ダボス会議・日米首脳会談
米下院議長選の第1回投票が3日行われ、野党・共和党のマッカーシー院内総務は過半数を獲得できなかった。投票が2回目以降にずれ込むのは1923年以来、100年振り。下院議長に選ばれるには435議席の過半数に当たる218票が必要。議長選は過半数を獲得する候補者が現れるまで繰り返し行われ、決まるまで法案審議などは進めることができない。米国の負の側面が材料視されてくる可能性も。
中国では、春節(旧正月)の間は、帰省や旅行などに伴なう人々の大移動が予想され、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大につながる可能性が懸念されている。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は1日、2023年は多くの国・地域にとり厳しい年になるとの見方を示した。「米国、欧州連合(EU)、中国という3大経済圏が同時に減速しているため」と説明した。今回の発言は、1月下旬の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に合わせてIMFが発表するとみられる経済予測で、中国と世界の成長予測が再び引き下げられる可能性を示唆する内容。
ダボス会議では、ロシア・ウクライナの停戦に向けた動きが出るか否かにも注目したい。
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。