金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気|【Weekly Report】週間予定
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2026年3月23日
週間展望(3/23~3/29)
このページで知れること(目次)
週間予定:トランプ大統領デッドライン、日銀議事録
前週トッピクス:日米首脳会談
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:トランプ大統領デッドライン、日銀議事録

・トランプ大統領警告タイムリミット
「48時間以内(日本時間24日朝)にホルムズ海峡を完全に開放しない場合、イランの発電所を攻撃し、壊滅させる」と表明。
・春闘第1回回答集計結果
大手満額回答相次ぐ、今年も賃上げ率5%台
・日銀議事録
1月会合は植田総裁が慎重姿勢崩さずドル円一時159円
・日本消費者物価指数
物価高対策でコアCPIが4年ぶり2%割れ見通し
・豪消費者物価指数
高止まりなら5月利上げ確実か、中銀タカ派加速
前週トッピクス:日米首脳会談
【日米首脳会談】

日米首脳会談は、トランプ大統領が孤立を深める中、欧州と異なり、米国に寄り添う姿勢を見せ、無理難題を押し付けられず、両国関係が単なる安全保障条約の枠組みを超え、「強固な個人的信頼関係」が確認されたという側面では成功だった。
ただし、前回と同じく共同声明も出せない首脳会談は異例で、将来の宿題・課題と巨額投資だけが決められ、国益と言う観点からは、短期的には無難に通過したものの、将来的には米国の国益になっても日本の国益になるかは不透明な結果。
・地政学リスクとエネルギー調達の多角化: :ホルムズ海峡の封鎖リスクに対し、アラスカ産原油の購入提案という供給網再編に踏み込んだ。
・防衛力強化とテクノロジーの融合:日本の防衛費増額(GDP比2%超)と反撃能力保有が米国から高く評価された。「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムへの参加意向は、防衛テクノロジー領域での日米の一体化を象徴するが、今回のイランによる安価なドローン攻撃で分かったように、「非対称コスト戦争」でのコストパフォーマンスや、有効性などの論点は残る。
・サプライチェーンのブロック化:半導体、造船、医薬品、エネルギーといった重要技術・産業分野での協力を前提とした5500億ドルの対米投資と関税引き下げ(25%→15%)は、両国を経済ブロックへと変容させる。
今後の投資環境において「国家安全保障」と「サプライチェーンの自立化」を最優先テーマへと押し上られる可能性。投資資金は経済合理性のみを追求するセクターから、国家の生存と直結する戦略的セクターへと急速に移動し始めている。
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
【今週見通し・戦略】

ドル円は、有事のドル買いと、中東から原油輸入依存度が高い日本が、原油輸入価格の上昇を通じて、日本の貿易赤字が拡大するとの見方から円売り・ドル買いが継続。米軍が13日にイランのカーグ島を爆撃したことを受けて、NY原油が100ドルを超える動きとなったことなどがドル買いを後押しした。
その後、心理的節目160円を前に、円買い介入への警戒感からポジション調整の売りが強まった。片山財務相から円安牽制発言が出たこともあり、ドル円は一時158円台まで下落した。100ドル台に再び上昇したNY原油が一時92ドル台まで急落したことも、ドルの戻り売りにつながった。
FOMCの結果発表後には、主要通貨に対してドル高が進んだ後、米東部時間19日未明までに欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行(中銀)、日銀が発表した金融政策がタカ派と受け止められ、ドルが売られる方向に動いた。
利下げ路線変更
前週末は、米長期金利が昨年8月以来の高水準を付ける場面があり、日米金利差の拡大観測から円売り・ドル買いが優勢になった。原油高がインフレ圧力を強めるとの見方が広がるなか、米欧の中央銀行は利下げ路線の修正を迫られるとの観測が高まった。
米国・イスラエルとイランの軍事衝突が続くなか、米CBSは20日に米国防総省がイランに地上部隊を送るための詳細な準備を進めていると伝えた。米軍が中東地域に数千人規模の海兵隊員などを追加派遣する計画も報じられた。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、大口投機玉の円の売り越し幅は、小規模にとどまっており、投機的な過熱感には乏しい。また、介入の条件として市場が注目するた「過度の変動」も、52週移動平均線乖離率などを見る限り、テクニカル的な過熱感にも乏しい。
金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気
【今週見通し・戦略】

先週のNY金(4月限)は、早期米利下げ観測が後退する中、米長期金利の上昇基調を受けて売りが加速し、大幅続落した。
連邦公開市場委員会(FOMC)で、中東情勢の緊迫化に伴う原油高騰の影響を見極めるため、政策金利を2会合連続で据え置くことを決定。FOMC参加者の金利見通しは、年内1回の利下げ予想が維持された。
ただ、パウエルFRB議長は「インフレ鈍化が進展しなければ、利下げはない」と明言。早期利下げ期待の後退に加え、堅調な米経済指標を受け米長期金利の指標である10年債利回りが19日朝方、一時4.30%近辺まで急上昇すると、金の売りが活発化した。
FRBをはじめ、日銀、欧州中央銀行(ECB)、英イングランド銀行(中央銀行)などの主要中銀は今週、金融政策会合を開き、いずれも金利据え置きを決定。米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発した原油高騰が続く中、インフレの上昇リスクを警戒し、利下げに対して慎重な姿勢を強めていることが金の売り要因となっている。
前週末には、安値拾いの買いや中東紛争を背景とした安全資産としての金買いが入る場面もあったが、米政府高官が20日、米軍が数千人の海兵隊員および海軍兵士を追加派遣していると報じられ、中東での紛争が長期化するとの警戒感が強まる中、米長期金利が上昇。売りが優勢となった。対ユーロでドル高となったことも一因。
価格帯別出来高の厚い5000ドル~5200ドルが上値抵抗帯に変化。
テクニカルポイント
2月2日の長い下ヒゲで付けた安値~心理的節目4500ドル水準で下値支持されるか否かが焦点。
米金利上昇の可能性も意識され始めており、まずは、これを織り込む動きを経てから、改めて買いの手が出てくるだろう。底打ち確認待ち。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

