金:買い主体の戦略・戦術維持|金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き|【Monthly Report】月間展望(10月) | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:買い主体の戦略・戦術維持|金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き|【Monthly Report】月間展望(10月)

NSトレーディング 菊川弘之
2025年10月1日

~10月1日~10月31日 ~

ドル円:米政府機関閉鎖・自民党総裁選挙など波乱要因多し
CFTC建玉明細・ドルインデックス・ドル円

10月騰落率(ドル円)

【今月見通し・戦略】

9月のドル円は、「米利下げ期待」と「日本発の悪い円安懸念」の綱引きで、145~150円の狭いレンジ相場継続となった。8月同様、200日移動平均線を上抜く場面もあったが、戻りは売られた。移動平均線の向きは下向きのままで、「グランビルの売り法則」が意識された。一方、10月4日(土)に自民党総裁選挙を控えて、新たな連立の枠組み次第で、財政拡張的な政策が採られるのではないか?との憶測も強く、ドル円の下値も限定的。


ドルも円も弱いという中、自民党総裁選挙や、米政府機関の一部閉鎖の可能性を見極めようとする動きが、9月末かけて強まり、三角保合い放れ待ちの展開となっている。


米ホワイトハウスは9月24日、連邦政府機関に対し、政府機関が来週閉鎖されるリスクに備え、大量解雇の計画をまとめるよう指示した。過去の閉鎖時には通常、職員の一時帰休が行われており、異例の対応となる。共和・民主両党が「つなぎ予算」で合意しない場合、一部政府機関は予算失効により、10月1日午前0時に閉鎖される。厚生省は職員の41%を一時帰休とする。トランプ政権は、政府機関閉鎖を機に連邦職員の大量解雇を行う可能性を示唆しており、過去の政府機関閉鎖とは様相が異なるものになる可能性も浮上している。これまでの表面的なチキンレースではなく、年初に見られたイーロン・マスク氏主導による電撃的なUSAID閉鎖のような目的を秘めているかもしれない。


三角保合い放れ待ち。10月の月間騰落傾向は、円安ドル高優性も、円高に振れた際の値動きは大きくなっている。



~CFTC建玉明細・ドルインデックス・ドル円~


【CFTC建玉明細】

CFTC建玉明細 NY金


【ドル円&ドル・インデックス】

ドル円(日足)とDollar INDEX


【ドル円(日足)200日度移動平均線】

ドル円(日足)200日移動平均線



金:買い主体の戦略・戦術維持
金価格と米債務・NY金(日足)・金現物(変動率)

10月騰落率(NY金)

【今月見通し・戦略】

9月は、内外共に金価格が史上最高値を更新した。米覇権・ドル基軸通貨体制の揺らぎという大きな金買いのテーマに加えて、米利下げ期待の高まりや、米政権の関税政策やFRB独立性への疑問、更に、地政学リスクの高まりなど、世界経済や国際関係に不透明感が強まる中、新興国を中心とした中央銀行による買いが加速。国内では悪い円安権も加わるなど複合的な要因が組み合わさり、強い相場となっている。


更に、ここにきて急浮上しているのが、「米政府機関閉鎖」だ。つなぎ予算で合意しなかった場合、一部政府機関は予算失効により、10月1日午前0時に閉鎖される。トランプ政権は、政府機関閉鎖を機に連邦職員の大量解雇を行う可能性を示唆しており、過去の政府機関閉鎖とは様相が異なるものになる可能性も浮上している。過去の米政府機関閉鎖時の金相場は、政府機関閉鎖を織り込みながら上昇し、実際の閉鎖が始まり、それが長く続くと、一段高というパターンだ。2018年には、トランプ政権と議会のメキシコ国境壁予算を巡る対立から、12月から翌年1月までの35日間、政府機関の一部が閉鎖された。1995年12月~1996年1月にはクリントン政権vs下院共和党の対立で21日間の政府機関閉鎖、2013年10月にはオバマ政権下で議会が医療制度改革を巡った紛争で16日間の閉鎖となって例がある。今回も最終的に妥結するとの楽観的な見方もあるが、短期間で決着が付かない場合、ここまで、米利下げ期待を背景に史上最高値を更新してきた金と株価指数は、本来の逆相関の動きに戻るかもかもしれない。


一時的な閉鎖にとどまるなら、金相場にも押し目が入る可能性はあるものの、新しい国際秩序の不透明感など、金を取り巻く環境は強気で、押し目は改めて、買い拾われるだろう。債務上限が拡大していくことは、結果として金の値位置を押し上げることになる。



~金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き~


【金価格と米国政府債務】

米政府債務残高と金価格


【NY金(12月限)200日移動平均線】

NY金(12月限)200日移動平均線


【米政府機関閉鎖前後の値動き】

過去の米債務上限問題前後の値動き:Gold(ドル建て)



10月注目スケジュール:
FOMC・自民党総裁選挙。米政府機関閉鎖の恐れ

10月注目スケジュール


・米連邦公開市場委員会(FOMC)

 FOMCでは、年内2回の利下げが織り込まれている。


・自民党総裁選挙

 総裁選挙後の新たな連立の枠組みに注目


・米政府機関閉鎖の恐れ

 「つなぎ予算」が決まらなければ、米政府機関閉鎖の恐れ。雇用統計・GDPなどの経済統計発表にも影響が出ると思われ、FOMC決定にも影響を与えそう。

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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