金:夏の波乱要因に備えるような押し目買いの流れ|【Weekly Report】週間予定
2025年6月2日
週間展望(6/2~6/8)
このページで知れること(目次)
週間予定:米ISM景況感指数・米雇用統計
前週:備蓄米の店頭販売開始
ドル円:三角保合い放れ待ちへ移行中
金:夏の波乱要因に備えるような押し目買いの流れ
【海外投資家動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米ISM景況感指数・米雇用統計
・植田日銀総裁講演(内外情勢調査会)
米関税政策の影響や物価見通しに変化がないか注目。年内の追加利上げを示唆する発言や、国債買い入れの減額計画の中間評価を控え、今後の減額方針についての言及にも関心が高い。
・景気動向指数、実質賃金、設備投資(GDPに反映される)
・日本10年・30年債入札
・Nintendo Switch 2が発売
夏に向けた消費の見通しに関心が集まる
・米サプライマネジメント協会(ISM)景況感指数や米雇用統計
米経済指標の発表が相次ぐ。トランプ大統領による関税政策の影響でスタグフレーションがどの程度生じているかが注目。
・パウエルFRB議長やウォラー理事が講演
・欧州中央銀行(ECB)政策金利
利下げを続けるか否かが焦点。
・韓国大統領選挙
前週:備蓄米の店頭販売開始
【備蓄米の販売開始】
随意契約で売り渡された備蓄米の店頭での販売が大手スーパーなどで始まり、販売する店舗が増えていく見通し。一方、5月30日からは中小のスーパーやコメの販売店からの申し込みが始まりましたが、農林水産省はコメの販売店からの申し込みは予定していた2万トンを超えた可能性があるとして、2日午後5時にいったん受け付けを休止する予定。
「富富富」
米国在住の知人(USA大山時代の同門)から「アメリカで販売されいる富山米「富富富」は20ドル(日本円で2900円:ドル円145円計算)です。日本では7000円超えで売られていると言うのは本当ですか??
米騒動や一揆が起こらないのが不思議です。ちなみに、サンディエゴ市の平均所得は88,000~112,000$(1300万円~1600万円です)。
何かが間違っていませんか?」と連絡があった。
高齢農家のリタイア問題
国税庁調査によると、日本の平均給与461万円(男性567万円、女性280万円)。備蓄米は安く出回り始めたが、「富富富」のような銘柄米は、5000円~8000円で売られている。コメ価格の2極化・3極化が予想される中、農家の為には銘柄米は高い方が良いと思うが、海外で買う方が安いというのは、違和感はある。平均所得の差も愕然とするが。。コメの流通経路は際だって前時代的と言われるが、今回のコメ騒動をきっかけに可視化が求められるだろう。また、稲作は高齢農家の大量リタイアという構造問題を抱えている。個人農家の約6割が70歳以上。7割が後継者がおらず、誰も耕さないまま田んぼが荒れる可能性が高まっている。食糧安全保障の論議も高まることを期待したい。
ドル円:三角保合い放れ待ちへ移行中
【今週見通し・戦略】
先週は週初、トランプ米大統領が対EU50%関税発動を7月9日まで延期したことでリスク選好の動きにドル円が上昇。29日には米国際貿易裁判所がトランプ相互関税などの差し止めを命じたこともあり、ドル円は一段高となった。
日本では27日、財務省が需給の緩みが懸念されていた超長期債の発行額を減らすとの観測が広がったことから超長期債利回りが低下し、米国の超長期債にも買いが及んだ。財務不安を背景とした米国の資産を避ける動きが弱まったのも一因に。財務省は3日に10年債入札、5日に30年債入札を実施する。
ただし、トランプ政権側は連邦高裁に上訴し、関税差し止め措置が一定期間停止された。また、NEC委員長は代替的な措置があることを示したことで、関税撤回への期待感が失望に変化してドル円は反落。訴訟は第三審まで。現状は一審判決が出た段階。
米中関係悪化懸念
トランプ米大統領は30日、中国が「我々との(貿易に関する)合意を完全に破っている」とSNSに投稿した。米通商代表部(USTR)のグリア代表は、中国側の取り組みが遅いとの見方を示した。また、米政権が中国のハイテク業界への制裁拡大を計画していると報じられ、米中関係悪化懸念が改めて広がった。
G7サミット前に協議
日米関税交渉で4回目の閣僚協議が30日に終わった。日本と米国は6月中旬のG7サミット前に再び協議することで一致。G7に合わせる格好で、米中首脳会談も模索されており、様子見ムードが高まる可能性も。ドル離れは続いているものの、基軸通貨たる他の代替通貨も見当たらない中、戻り売り主体のレンジ相場入りも要想定。140円割れなら下げ加速の見方には変化なし。
金:夏の波乱要因に備えるような押し目買いの流れ
【今週見通し・戦略】
金相場は5月に内外共にダブルトップを完成から、戻り売り優勢な状況だったが、内部要因からは大口投機玉の買い越し整理は進んでいた中、ネックライン割れから、一時的に下げ圧力が高まったものの、大口投機筋は安値を改めて買拾い積み上げる戦略を組んでいる。相場格言「投げたら終い」だ。
今夏に向けて、相互関税の90日間猶予期間は7月上旬、8月には米中相互関税・報復関税上乗せ分の猶予期間や、米債務上限問題が再び浮上してくる。関税協議に対する期待先行でリスクオンの動きが強まったが、関税問題は解決した訳ではなく、先送りになったに過ぎない。
金と原油の組入れ推奨
ゴールドマン・サックス・グループは米国への信認を巡る懸念の中で、長期ポートフォリオにおけるインフレヘッジとして金と原油の組み入れを推奨。28日のリポートで、株式と債券に分散投資するいわゆる60/40ポートフォリオ(株式60%・債券40%)においても、金と原油を長期的に組み入れることで平均的年間リターンを維持しリスクを軽減することがこれまでも可能だったと分析。ゴールドマンによれば、そうしたシナリオでは金の安全資産としての魅力が一段と高まるとともに、米国債と米国株の両方が持続的に売られる可能性がある。米国の財政状況とFRBの独立性への懸念が強まった場合、金への資金大量流入が起き、価格が2025年末に1オンス=3700ドル、26年半ばに4000ドルというゴールドマンの現在の予測を大きく上回る可能性があると指摘。
イランとの核開発協議、イスラエルのイラン攻撃リスクなど、金相場は地政学を含めた夏の波乱要因に備えるような押し目買いの流れへ戻っている。内外共に、トリプルトップを形成する流れだが、終値ベースで5月高値を上抜ければ、踏み上げ相場へ。頭打ちなら、ネックラインを下値支持とした中段のもち合いを形成しながら放れ待ちとなりそうだ。
【海外投資家動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。