金:米大統領選挙後の調整安は一巡|月間騰落率(OSE金)・NY金(日足)・米利下げと金価格|【Monthly Report】月間展望(12月) | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:米大統領選挙後の調整安は一巡|月間騰落率(OSE金)・NY金(日足)・米利下げと金価格|【Monthly Report】月間展望(12月)

NSトレーディング 菊川弘之
2024年12月2日

~12月1日~12月31日 ~

ドル円:日米金融政策の差が材料視
CFTC建玉明細・ドル円(週足)・ドル円(日足)

12月騰落率(ドル円)

【今月見通し・戦略】

米大統領と上下両院を共和党が支配する「トリプルレッド」となったことで、 急速にドル高、米株高、米長期金利高となり、11月15日に156円台まで上昇したものの、トランプ次期米大統領が財務長官にスコット・ベッセント氏を指名したことや、26日にトランプ氏が中国に10%の追加関税、メキシコとカナダに25%の関税を課すと表明したことを受けて、リスク回避の円買い・ドル買いが広がった。


その後、11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.2%上昇。市場予想(2.1%上昇)を上回った。植田日銀総裁は日本経済新聞インタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。また、「一段の円安はリスクが大きい」との認識を示した。場合によっては政策変更で「対応しないといけなくなる」と強調した。日銀が12月の金融政策決定会合で追加利上げに動くとの見方が強まった一方、12月FOMCで追加利下げに動くとの観測が根強く、日米金利差縮小思惑から、円高ドル安が加速。ドル円は150円を割り込んでいる。


ネックライン割れで、変形の三尊天井完成。エリオット波動の修正波動入り。9月安値~11月高値までの上昇幅に対する半値押しは148.13円。61.8%押しは146.1円。200日移動平均線を割り込み、90日移動平均線(148.3水準)が意識される流れへ。一目均衡表からの下値目標は、V=147.46円がカウント可能。


トランプ氏が11月30日、SNSに「BRICSの新通貨をつくらず、強大なドルに代わるほかの通貨を支持しないと約束するよう要求する。さもなくば100%の関税に直面し、素晴らしい米経済に別れを告げることになるだろう」と投稿したことは、基軸通貨としての地位が揺らいでいる証左。



~CFTC建玉明細・ドル円(週足)(日足)~


【CFTC建玉明細】

CFTC建玉明細 ドル円


【ドル円(週足)52週移動平均線】

ドル円(週足)52週移動平均線


【ドル円(日足)200移動平均線】

ドル円(日足)200移動平均線



金:米大統領選挙後の調整安は一巡
C月間騰落率(OSE金)・NY金(日足)・米利下げと金価格

12月騰落率(NY金)

【今月見通し・戦略】

10月の金相場は、内外共に史上最高値を更新した。

いわゆる「トランプトレード(株高・ドル高)」の加速に伴いNY金相場は調整入りしたが、価格帯別出来高の2500ドル~2550ドルが下値支持帯として意識され、11月14日に下ヒゲの長い十字線を形成。その後、ウクライナに米兵器のロシア攻撃が許可されたことを受けて急伸した。

次期米財務長官指名後は、米金利は下落(NY金にとっては強気要因)しており、地政学リスクを背景に短期的に急上昇した流れが、米感謝祭を前に利食いの動きが出たと言うのが調整安の主因だ。


テクニカル面からは、ネックラインの11月14日安値(1番底候補)を割り込むと、ダブルトップ完成。下げ圧力が高まるチャート形状だが、心理的節目2600ドル水準で、下げ止まれば2番底形成。そこから切り返し、11月25日高値を上抜けば、強気感が増していく。また、2600ドル水準で下げ止まっても上値が重いなら、11月14日安値~11月25日高値のレンジ形成となり、ボックス放れ待ちの展開となりそうだ。


JPX金は、終値ベースでネックライン(11/18安値)を割り込むと、8月安値~10月高値までの上昇に対する38.2%押し(12700円)~半値押し(12338円)、61.8%押し(11976円)などが意識される。一目均衡表からは、N=12491円、V=11940円、E=11681円などがカウント可能だ。ただ、マーケット・アストロロージ(占星術)では、今年最後の水星逆行サイクルが11月25日から始まっている(~12月15日)。テクニカル面のダマシが出やすい時間とも言われ、円高などで国内市場がネックライン割れから下げ加速となっても、マザーマーケットのNY金が大きく崩れなければ、国内のダブルトップ完成はダマシで終わり、中期的な買い場を提供するような展開も想定しておきたい。

変化が起こりやすいサイクルは、12月1日が新月。メリマンの重要変化日が12月15日~18日。12月の月間騰落率は、内外共に買い方有利の時間帯。



~月間騰落率・NY金(52週移動平均乖離率)・米利下げとNY金~


【月間騰落率(OSE金)】

12月騰落率(金標準)


【NY金(52週移動平均線)】

NY金(週足)52週移動平均線


【米利下げと金価格】

米国利上げ打ち止めと金価格



12月注目スケジュール:
FOMC・日銀金融政策決定会合・中国・中央経済工作会議

12月注目スケジュール


・FOMC(連邦公開市場委員会)

今後の利下げペースについては、パウエルFRB議長から慎重に判断するとの考えが示唆される中、トランプ次期大統領公約はインフレを招くとの見方もあり、利下げするかどうかの見方はCME Fed Watchなどでは拮抗状態。


・日銀金融政策決定会合

前回会合では米大統領選を控えた不確実性の高まりなどを理由に政策金利が据え置かれたが、大統領選でトランプ氏が勝利し、大きな混乱なく政権移行ができるとの観測からインフレ再燃懸念などを背景に米長期金利が上昇し、円安ドル高が進行したことから、12月の利上げ観測が高まっている。植田日銀総裁は日本経済新聞インタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。また、「一段の円安はリスクが大きい」との認識を示した。場合によっては政策変更で「対応しないといけなくなる」と強調した。


・中国・中央経済工作会議

中国では12月中に、中央経済工作会議が開催される予定。年に一度、翌年の経済政策運営の基本方針を決定するために、総書記をはじめ共産党最高指導部のほか、閣僚や大手国有企業、軍の幹部などが参加し、経済成長や物価など経済運営の目標を議論する。

中国政府は、不動産市場の低迷などによる景気減速を受け、 9月以降に相次いで経済対策を発表している。中央経済工作会議において、成長目標達成に向けて、市場の期待に応えられる規模となるかが焦点。

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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  • 18日、19日に日本銀行金融政策決定会合。19日昼前後の会合終了後、結果が公表され、同日午後3時半から植田日銀総裁が会見を行う予定。

  • 7月のドル円は、月初に1986年12月以来の円安・ドル高水準を付けた後、6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことに合わせて、政府・日銀が11日に3兆円規模、12日に2兆円規模で円買い・ドル売りの為替介入を実施した事から円高ドル安に反転した。

  • ドル円は、円キャリートレードの巻き戻しが一巡後、心理的節目140円が下値支持として意識されているものの、9月に大幅利下げを断行したFRBが、継続的に利下げを実施するとの思惑が、上値を抑えた。

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