金:株式市場の損失補填的に売られる局面|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:株式市場の損失補填的に売られる局面|【Weekly Report】週間予定

NSインベストメント 菊川弘之
2026年3月9日

週間展望(3/9~3/15)

週間予定:米CPI・PCE・全人代

【週間スケジュール(3月9日~3月15日)】

・日本実質賃金

 ボーナスと物価上昇鈍化受け13カ月ぶりプラス転換か


・日本GDP改定

 上方修正見通し、設備投資の伸びが予想大きく上回る


・PCE価格指数、米CPI、個人所得支出、GDP改定

 米重要統計相次ぐ


・米国市場が夏時間入り

 経済統計発表が1時間早くなる


中国全国人民代表大会(全人代)(~12日)


FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~19日)



前週トッピクス:米雇用統計

【米雇用統計】

米雇用統計

米国ADPと米雇用統計

2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数が9万2000人減少。1月の12万6000人増(速報値13万人増から下方修正)から反転し、予想外のマイナスとなった。失業率は4.4%と、1月の4.3%から悪化。中東緊迫化で原油価格が急騰する中、労働市場の悪化が​示された。非農業部門就業者数‌の減少は2025年1月以降6回目で、今回の落ち込みはその中で2番目の大きさ。医療従事者のストライキのほか、厳しい冬の天候で建設業やレジャー・接客業の雇用が圧迫されたことが響いた。事前予想は5万9000人増。


2月までの3カ月間の平均雇用増は月6000人と、1月までの3カ月間の平均(5万人増)から大きく減​速。雇用増の基調は確実に弱まっている。



ドル円:エネルギー高による円売り・有事のドル買い

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)200日移動平均線

ドル円は、米国・イスラエルによるイラン攻撃でハメネイ師死亡が伝わると、基軸通貨として信用力が高いとされるドルを買う動きが広がった。日本は原油を輸入に依存している。中東情勢の緊迫が原油の輸入価格の上昇を通じて、日本経済に悪影響を及ぼすとの懸念があり、「リスク回避の円買い」につながりにくかった。


週後半には「停戦協議打診」報道で一時的にドル売り・株高が進んだが、イラン側が否定し、根本的な緊張緩和には至らなかった。クウェート沖タンカー爆発や中東諸国へのミサイル攻撃が相次ぎ、情勢は混迷を深め、ドル円は再び157円台後半へ戻した。


ロシア制裁に伴いロシア産の天然ガスに頼れない欧州の中東エネルギー依存リスクが改めて意識され、ユーロ売り・ドル買いとなったことも、円安ドル高の一因となった。米国・イスラエルとイランの双方が攻撃の手を緩めず、ホルムズ海峡封鎖の動きも加わり原油供給への警戒から原油先物が高騰。スタグフレーション懸念が台頭し、欧州株・米株・日本株も全面安となった。

雇用統計

トランプ米大統領は6日、自身のSNSに「イランとの合意は無条件降伏以外はありえない」と投稿した。イランメディアによると、同国軍事組織が5日、ペルシャ湾北部で米国の石油タンカーをミサイル攻撃したと伝わった。同日にはイランのアラグチ外相が「停戦を求めていない」と述べたと報じられていた。事態の収束が見通せず、米・イスラエルとイラン間の戦闘が長期化するとの思惑が広がった。一方、2月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比9万2000人減と、市場予想(5万人増)に反してマイナスとなった。失業率は4.4%と、前月から横ばいを見込んでいた市場予想(4.3%)を上回った。米労働市場の減速感が改めて意識された場面では、ドル売りの動きも見られた。戦闘の早期収束観測は後退して、インフレと景気後退が同時に進行するスタグフレーション懸念が浮上している。



金:株式市場の損失補填的に売られる局面

【今週見通し・戦略】

NY金(4月限)MAC(Moving Average Channel)

米国とイスラエルは2月28日、イランに対する大規模な攻撃により、イランもイスラエルや湾岸諸国の米軍施設など標的に無人機やミサイルで反撃した。レバノンの親イラン組織も対イスラエル攻撃に踏み切るなど、戦線は拡大している。原油輸送の要塞ホルムズ海峡が事実上封鎖され、供給不安から原油が急騰。金も追随高したが、原油市場の攻撃後のファーストアクションが、2025年6月攻撃時と同じような値動きパターンを取ったこともあり、買い一巡後は、米金利上昇や、有事のドル買いを嫌気して上げ幅を縮小した。ニューヨーク・タイムズ(電子版)は4日、米イスラエル両軍が対イラン攻撃を開始した翌日、イラン情報省工作員が第3国を介して米中央情報局(CIA)に接触し、戦争終結の条件を話し合う協議を打診していたと報じられたことも一因。


週末のNY金(4月限)は、低調な米雇用統計を受けて利下げ継続期待が高まり、反発した。労働市場の減速感から米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重になるとの観測がやや後退し、金買いが入った。

スタグフレーション

2025年の米軍によるイラン攻撃時では、「有事の金買い」の反応は限定的だった。地政学リスクに伴う「安全資産」の買いと言うよりも、足もとは米金利の動きや、中東の影響をより受けやすいユーロ安ドル高の動きなどに左右されている感触だ。雇用統計が弱気な内容となったことで、スタグフレーション懸念が急浮上している。インフレ圧力の高まりから米金利引き下げ観測が後退するようなら、短期的には金の上値を抑える。ただし、英不動産ローン会社(マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)破綻の影響も金が買われている一因だ。中東情勢の長期混迷化・ホルムズ海峡の物理的封鎖など地政学リスクが高まれば、リーマンショックの時と同様に、株式市場の損失補填的に売られる局面はありそうだが、押し目はすかさず買い直され、急速に高値更新していくだろう。エネルギ-高を嫌気して円安が進めば、円建て金の上げ足は、ドル建て金と比べて、強い動きとなりそうだ。一方、地政学リスクが落ち着くと、原油安・インフレ鎮静から、米利下げ期待が高まり、金相場は、ゆっくりと下値を切り上げて高値更新しそうだ。



【海外投資家動向(225)】

海外投資家動向と日経平均株価(週次)



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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  • 9月のドル円は、「米利下げ期待」と「日本発の悪い円安懸念」の綱引きで、145~150円の狭いレンジ相場継続となった。8月同様、200日移動平均線を上抜く場面もあったが、戻りは売られた。

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