金:調整局面入り|金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き|【Monthly Report】月間展望(11月)
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2025年11月3日
~11月1日~11月30日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:本邦当局の介入姿勢に注目 ドル円(月足)(週足)(日足)
金:調整局面入り 金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き
11月注目スケジュール:米政府機関閉鎖過去最長も。ADP雇用統計
本邦当局の介入姿勢に注目

【今月見通し・戦略】
11月のドル円は、日銀の利上げ観測と米利下げ予想が共に後退し、円売り・ドル買いが加速。ベッセント米財務長官氏は、27日に片山さつき財務相と会談して金融政策について議論した後、ベッセント財務長官自身のSNSで「政府が日銀に政策余地を与える姿勢は、インフレ期待を安定させ、過度な為替レートの変動を回避する鍵となるだろう」との発言に反応、「12月利上げ」の見方もあった中、植田日銀総裁が会見で「ハト派」的な姿勢をとったため、円安が加速した格好だ。一方、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で12月会合での利下げは「定まった結論からはほど遠い」と、追加利下げに慎重と取れる見解を示した。
一番天井候補だった10月10日高値を上抜き、ダブルトップシナリオは消滅。これまでの抵抗だった10月10日高値~10月27日高値を下値支持帯として、心理的節目155円を試す流れとなっている。一目均衡表からは、N=156.05円、V=157.2円、E=159.9円などが上値目標としてカウント可能だ。一方、週足ベースでは、2024年7月高値を起点とした下降トレンドに上値が抑えられ、52週移動平均線を中心とした三角保合い放れ待ちの状態だ。
高市トレードで「円安・株高」の流れが強まっているが、155円水準を超えて、短期的な過熱感が高まってくると、本邦当局の口先介入などの警戒シグナルが出てくる可能性。片山さつき財務相は31日、一時1ドル=154円台をつけたことについて「投機的な動向を含め、為替市場の過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感を持って見極めている」と述べている。
~ドル円(月足)・ドル円(週足)・ドル円(日足)~
【ドル円(月足)】

【ドル円(週足)52週移動平均線】

【ドル円(日足)200日度移動平均線】

金:調整局面入り
金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き

【今月見通し・戦略】
NY金相場は、10月20日に史上最高値を更新後、長大陰線を付け、調整入りとなった。金ETFも金価格との乖離が大きくなっており、本来、小さな現物市場をベースに成り立っていた貴金属マーケットに証券・金融系の大きな資金が一気に流入した事で、ボラティリティの高まりと共に急伸したが、異常値が平準化される過程の中での調整局面だ。
8月20日安値~10月17日高値までの上昇に対する38.2%押し(3995.3ドル)~心理的節目4000ドルが下値支持として意識され、10月22日には、下ヒゲを形成して自律反発したが、戻りは鈍く、同下ヒゲ安値を割り込み、改めて一番底を探ぐる展開だ。半値押し(3875.7ドル)で下げ止まらなければ、61.8%押し(3752.4ドル)が意識される。
8月安値から今回の急角度の上昇が始まったことを考慮すると、8月安値~10月高値までの日柄が、調整でも必要と言える。この調整が値幅で行われるのか、日柄で行われるかが注目。
下値目標値は、V=3870ドル、N=3794ドルなどがカウント可能だ。これらの水準は、8月安値~10月高値までの上昇に対する半値押し(3875.7ドル)や、61.8%押し(3752.4ドル)とも重なる。
年末にかけての調整は、NY金相場の季節的なアノマリーを考慮すると、1月高に向けての買い場を提供すると考える。
パターン分析では、戻りが鈍いなら、三尊天井の肩を形成との見方もでき、ネックライン割れからの下げ加速のような値幅調整であれば長大陽線や長い下ヒゲなどのチャートパターンで1番底を確認後、買いの準備を整え、2番底形成からネックライン超えで追撃買いを考えたい。一方、日柄調整となった場合は、保合いからの上放れを確認後、追随する戦略を考えたい。
~金価格と米債務残高・NY金・米政府機関閉鎖前後の値動き~
【金価格と米国政府債務】

【NY金(12月限)200日移動平均線】

【米政府機関閉鎖前後の値動き】

11月注目スケジュール:
米政府機関閉鎖過去最長も。ADP雇用統計

・米政府機関閉鎖
11月5日まで継続なら史上最長に、与野党の膠着状態に出口見えず
・日本実質賃金
9ヶ月連続減少の見込み、賃金の伸びが物価高に追いつかない状況続く
・米ADP雇用統計
政府閉鎖で民間企業による調査が注目集める、週次速報公表も開始へ
・豪中銀政策金利
第3四半期CPI予想以上の伸び、目標範囲上限到達で利下げ期待ほぼ消滅
・英中銀政策金利
予算案めぐる不透明感や高インフレで据え置きか、一部利下げ予想も
※米国市場は冬時間へ移行(※経済統計発表が1時間遅くなる)
※米政府機関閉鎖の影響で米経済統計の発表は延期になる可能性
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

