金:中銀ウィーク通過での調整も限定的|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:中銀ウィーク通過での調整も限定的|【Weekly Report】週間予定

NSインベストメント 菊川弘之
2025年9月22日

週間展望(9/22~9/28)

週間予定:FRB高官の講演、自民党総裁選告示、米PCE

【週間スケジュール(9月22日~9月28日)】

・FRB高官の講演相次ぐ

 50bp大幅引き下げ主張したミランFRB理事講演に注目。


・自民党総裁選告示

 高市氏と小泉氏の2強に林氏の支持が伸びる流れ。


・国連総会一般討論演説

 ロシア-ウクライナやイスラエル、イランなど中東情勢が議題に


・東京都9月消費者物価指数

 政府補助金が押し下げもコメ含む食料品は高止まり継続か


・米8月PCE価格指数

 パウエルFRB議長はインフレ警戒堅持、さらなる利下げに慎重姿勢の中、注目される



前週:米連邦公開市場委員会(FOMC)

【FOMC】

FOMC参加者による経済見通し

FOMC経済見通し(9月)

米連邦準備理事会(FRB)は16~17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.00─4.25%とすると決定した。


利下げは昨年12月以来6会合ぶりで、トランプ2期目政権発足後で初めて。


就任したばかりのミラン理事が0.5%の大幅利下げを求めて反対した。

利下げペース

参加者による政策金利の見通し(中央値)によると、年内残り2回の会合で計2回の追加利下げを見込む。6月に示した前回見通しよりも利下げのペースが上がった。


パウエル議長は記者会見で「(労働市場が)とても堅調だとはもはや言えない」と述べた。企業による雇用の勢いが弱まって失業率が上昇する懸念が強まったため、金融引き締めを緩める必要性が高まった。


一方、物価上昇率はFRBの目標水準を上回り続けており、パウエル議長は「(雇用と物価という)両面のリスクを抱えた状況にあり、リスクのない道筋は存在しない」と説明し、今回の決定を「リスクを管理するための利下げ」と総括した。


0.5%の大幅利下げ案について「広範な支持はなかった」とし、今後も会合ごとに政策を決めると強調した。



ドル円:「米利下げ期待」と「日本財政拡張懸念」の綱引き相場

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)200日移動平均線

ドル円(週足)52週移動平均線

FOMCで0.25%の利下げを受けて米長期金利が低下し、ニューヨーク外国為替市場でドル安が加速した。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドル指数は一時、2022年2月以来3年7ヶ月ぶりの安値を付けた。

中央銀行ウィーク

一方、ドル円も一時、7月上旬以来の安値を付けたが、ドル指数と比較すると下値は限定的となっている。


これは、ドル円が「米金利低下期待」と、自民党総裁選挙後の日本の「悪い円安懸念」(財政拡張的な政策実施)との綱引き相場で、保合っていることが背景だ。ポスト石破首相の陣容如何では、日銀の金利引き上げが、後ずれするのではないかとの懸念も一因だ。

一方、前週末は、日銀の金融政策決定会合の結果を受け、追加利上げが意識されたことが円買い・ドル売りを促した。半面、米経済の楽観姿勢が強いことは円の上値を抑えた。日銀は18~19日の会合で政策金利を据え置いたものの、9人の政策委員のうち2人が政策金利の引き上げを主張した。

自民党総裁選挙

ただ、日本の自民党総裁選を10月4日に控え、立候補する高市早苗前経済安全保障相は日本時間19日午後、記者会見を開いた。責任のある積極財政へと移行すべきだとの考えを示し、高市氏が次期首相となった場合、財政拡張的な政策が実現しやすくなるとの観測がドル円の下値を支え、ここ最近のレンジ(145~150円)な動きが継続している。


パターン分析では、三尊天井型(完成せず)からボックス放れ待ちに移行しつつある。



金:中銀ウィーク通過での調整も限定的

【今週見通し・戦略】

NY金(12月限)

JPX金(日足)MAC(Moving Average Channel)

金相場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受け、内外で史上最高値を更新。

NY金(12月限)は、史上最高値3744ドル、金先限は上場来高値17,646円、国内店頭地金価格(販売価格)も19,265円の史上最高値を付けた。


ただし、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、事前予想通り0.25%の利下げを受けて、「知ったら終い」で、調整局面入りとなった。

10月は下落傾向

過去の月間騰落傾向を見ると、10月は下落基調が強いことが見て取れる。これは、①例年11月のディワリ(ヒンドゥー教の祭典)に向けて、インドでは9月に金の買い付けが活発化するが、10月は買い需要が一服する。②中国では旧正月(1~2月)に向けた金需要が強まるのは年末から年明け。インド・中国と言う金需要2大国の買いが一旦落ちる端境期になりやすいのが10月。


今年は中秋節と国慶節が重なり、中国市場は10月前半の長い期間、休場となることも、金の調整の一因になりそうです。③更に、10月は米株式市場が荒れやすい月(1929年、1987年、2008年など)で、株安時に一時的に流動性確保から「金が売られて現金化」される場面も多かったことや、9月末は四半期末で、10月にかけてポジション解消が出やすいこと、などが10月安の背景。

押し目買いの好機

10月にかけて、調整局面も予想される金相場だが、同時に年末年始高の傾向もあることから、押し目は買い直される可能性が高い。10月の調整局面は、改めて中長期の買い場を提供することになりそうだ。チャート上の底打ちパターン確認を待って、買い増し戦略を。



【海外投資家動向(225)】

海外投資家動向と日経平均株価(週次)



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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