高騰する商品市況とカナダ中銀の量的緩和縮小

高騰する商品市況とカナダ中銀の量的緩和縮小

(相場研究家) 市岡 繁男
2021年5月7日

 
この1年を振り返ると株式以上に商品の上昇が際立っている。昨年春以降の商品相場をみると6倍超に上昇、史上最高値を更新した木材をはじめ、石油や銅など軒並み2倍以上になった(図1)。また、とうもろこしや大豆も8年ぶりの高値をつけ、代表的な商品指数であるCRB指数も8割の上昇率である。

【図1】コロナ禍後の商品相場・値上がり率(2020 年3~6 月の週足安値=100 として対比)【図1】コロナ禍後の商品相場・値上がり率(2020 年3~6 月の週足安値=100 として対比)出所:ブルームバーグ

このように価格が高騰した要因は
① 世界の非鉄金属消費の過半数を占める中国経済の回復
② グリーン革命の名の下、CO2 の排出削減に向けたエネルギーシフトが推進される
③ コロナ禍による在庫縮小とサプライチェーンの混乱
④ 今年のワイン出荷が絶望視されるほど酷かった今年4月の欧州大寒波
などが挙げられる。だが、何よりも各国政府の巨額支出と中銀のカネ余り政策が相場を押し上げた面が大きい。
商品市場の規模は小さく、例えばWTI石油先物の建玉時価は1580億㌦(約17兆円)と、米国株の時価総額(46兆㌦=約5000兆円)の3%程度でしかない。年間を通じた世界の原油生産額も2.2兆㌦と、アップル1社の時価総額と同じだ。

このため過剰流動性の一端が市場に流入すると商品相場は高騰し、物価や金利に影響を与えてしまう。実際、今年3月の米国・生産者物価指数は前年比12%増と13年ぶりの上昇率となった。
こうした中、カナダ中銀は先月末、昨年10月に次いで2回目となる量的緩和策の縮小を発表した。カナダは輸出全体に占める各種商品の割合が55%と高く、同国通貨(カナダ㌦)は長らく商品相場の動きに連想してきた(図2)。
そんなカナダ中銀の量的緩和縮小策は本格的なインフレの到来が迫っていることを示している。

CRB 指数とカナダドルCRB 指数とカナダドル出所:ブルームバーグ

ならば読者は今、何に投資すべきなのか。筆者の一押しはやはり金と金鉱株だ。
希代の投資家、ウォーレン・バフェット氏は数ヶ月前、カナダの金鉱山会社バリックゴールド株(ティッカーはGOLD)と日本の5大商社株を大量に購入した。これは各種商品の高騰を予見した投資だったわけだ。ここで注目は、同氏はバリックゴールド株をNY市場ではなく、トロント市場、つまりカナダドル建てで買ったことだ。これは先行きのドル安と金上昇を見込んでいるからだ。幸か不幸か、金や金鉱株の値上がり率は他の商品と比べて小さく(図1ご参照)、今が絶好の買い時だと思われる。

相場研究家市岡 繁男(いちおか しげお)氏
市岡 繁男(いちおか しげお)氏

1958年、北海道生まれ。
81年一橋大卒、住友信託銀行入社。支店や調査部を経て、87年から資産運用部門で勤務。
1996年に同社を退職後は長銀、あさひ銀行、ロスチャイルド投資顧問、日本興亜損保、富国生命、中前国際経済研究所で内外債券、株式、為替の運用や調査研究業務を務めた。
2018年に独立し、現在は財団等の投資アドバイザーを務める。
週刊エコノミスト、日経ビジネスなどへの執筆多数。